ざんぶろぐ
6月中旬から3週間の日本一時帰国を経て、私が再びイスラマバードに戻ってきてからのこの7月・8月は、パキスタンの政局が混迷して、なんだか先行き不透明感満載な日々となっています。 きっかけは昨年のパナマ文書リークに端を発した(当時)シャリフ首相の不正蓄財&脱税疑惑。 これが2017年初め頃から最高裁での審議となり、7月28日にはシャリフ首相の国会議員資格を剥奪する判決が出て、「首相は下院議員でなければならない」とする憲法の定めのために、現職首相が辞任するという運びとなったのでした。(もう少し詳しい背景は朝日のこの記事がわかりやすいかと。)

そして辞任から10日が経ちましたが、政局は相変わらずどうなるのかわからないまま。 
シャリフ元首相は自分の後継者として実弟を指名し、与党の党首の座からは動かないままですが、実弟のパンジャブ州知事が国会議員でないため、首相になる資格を得るまでのワンポイント・リリーフ的にシャリフ元首相側近のアバシ首相が7月30日に就任しました。(このごちゃごちゃも解説記事に任せます。) と、ここまでは与党のシナリオ通りだったように思えたのですが、ここにきて実弟は9月に行われる、元首相の失職に伴う国会議員補選に立候補しないということに決まったそうで、え、じゃ後継はどうするの?ということになってきています。 そしてあまりに毎日状況がどんどん変化していくので、現地ニュースに追いつくこともできずに、私の頭もショート寸前という現状です。

大方の見方としては、来年2月の上院選、6月~8月に行われる見込みの下院選挙が終わるまでは、このアバシ首相体制が続くということになりそうだとのことで、そうなるとますます来年の選挙に向けて社会も政治もざわついてくるのではないかと懸念されます。 多分下院選挙の時には私はもうパキスタンでの仕事を終えてこの国を去っているのでしょうが、それまでのあと10カ月、この政局ゴタゴタ騒ぎから治安悪化等にならないことを祈るばかりです。 

ちなみに、約20年に渡る海外転々生活で、私が居住している国で与野党の政権交代があったのが3回、国家元首が亡くなったのが2回、クーデター未遂は1回、それでも退避になったことは無し。 イスラマバードでの仲間たちは、私のこの運の強さを考えると今回の政局もきっと事無きままに終わるさ、と楽観視して良さそうだとのことです。 あはは。
2017.08.09 Wed l イスラマバード生活 l COM(0) l top ▲
先週末、5月28日からパキスタンでも今年のラマダン(ウルドゥー語ではラマザン)が始まりました。 ラマダンの詳しい説明はWikiに任せるところですが、ようは日の出から日没までの一切の飲食を断ち、空腹や自己犠牲を体験して、飢えた人への共感をはぐくむ一カ月を送るということ。 ともに苦しい体験を分かち合うことでイスラム教徒同士の連帯感は強まり、多くの寄付や施しが行われるのだそうです。 最近は残念ながらラマダン=聖なる月が、過激派によるテロなどの多発期になっているので、あまり良い印象がない言葉のような気もしますが、普段よりもより真剣に祈りをささげ、苦行を通じて信仰を強くする時期なので、本来は穏やかで他者を思いやる時期なのだそうです。 

さて、私にとって初めてのラマダン経験となるこの5~6月。 パキスタンでは今年は夏至にピークが来る(太陰暦なので毎年時期が少しずつ異なる)ので、約15~16時間の断食となっているそうですが、朝3時に起きて最後の食事をしてから、日没の19時過ぎまでの我慢なのだとか。 もちろん在住異教徒の私たちには断食は強いられていませんが、同じ部屋で働くローカルスタッフが水も飲まず食事もしないところで飲食するわけにもいかないので、私も彼らの就業時間である午前8時から午後2時まで(ラマダン期間中は労働法で時短勤務をさせることが義務付けられている)は、水も取らずにプチ断食をしています。 たった6時間だけ飲食しないことなのに、普段職場ではずっと何らかのお茶を飲んでいる私にはこれがかなりの苦行! ちょっとした気分転換に、座りっぱなし対策に、毎日どれだけお茶を入れて飲むことで、仕事にメリハリをつけていたのかを思い知らされます。 午後2時を過ぎてローカルスタッフが帰宅した瞬間に水を飲みお湯を沸かしているのは、何となく罪悪感を感じるところでもありますが、私まで我慢をしてイライラしたり仕事の質が落ちるのも本末転倒だと思い、まあいいかと思うようにしています。 

そんな過酷なパキスタンでのラマダンですが、不謹慎ながら面白いなあと思うのは、その影響。 基本的に皆が断食のストレスを少なからず感じているので、なるべくそのストレスが表面化しないように、この時期には大きなイベントはしない、体力を奪ったり忍耐を伴うような活動は避ける、そして重要な仕事は先送りにする、ということ。 レストランが全部日没まで閉まっているぐらいは理解できていましたが、政府の会議や研修も「みんながイライラしているからろくなことにならん」とラマダン中は避けるのだとか。。。 先週も私の仕事で印刷を外注することになっていたのですが、この時期に作業をさせるととにかく凡ミスなどで質の低いものしか出てこないそうなので、1カ月先送りした方が良いとアドバイスを受けました。 さらにこの時期、断食と日昇前の食事で睡眠不足になっていることから、車の事故も多いし、ケンカっぱやくなっているので傷害事件なども増加するのだそう。 いやはや、いろいろ私の知らないことだらけの環境でした。 百聞は一見に如かず、人生初のラマダン体験はイスラム圏での仕事をする上で沢山の教訓を教えてくれています。

今年はラマダンの前後から世界のあちこちでテロが多発していて、何とも残念かつ不穏な時期になってしまっています。 私はあと1週間で日本に一時帰国なので、ラマダン後半の様子は見ることもないし、テロの危険をあまり感じることもなく過ごすことになると思いますが、とにかく平穏にこの聖なる月が終わってくれることを祈るばかりです。
2017.06.04 Sun l イスラマバード生活 l COM(0) l top ▲
1週間後の5月28日からラマダンが始まります。 我々のプロジェクトでもさすがに真夏のラマダン中にはあまり研修やイベントを行うこともできなくなるので、ラマダン前に終わらせたいことがたくさんあり、相変わらず忙しく、自転車操業の日々を過ごしています。 忙しくなるととにかくどこかに旅行に行って逃避したくなるのも以前から変わらず、でもイスラマバードから片道5時間ぐらいまでで行ける旅行先を考えては「どこもかしこもムスリムの国だから行っても飲めないしな~」と決断できなくなる飲んべえでございます。

私が現在住んでいるイスラマバードからは、国営航空会社のパキスタン航空(PIA)がもちろん一番多くの国・都市に就航しているのですが、私の所属先からは休暇でもPIA使用不可の指定があるため、せっかくの成田や欧州数都市への直行便を使うことができません。(使えたとしても PIAはPakistan Int'l Airlines ではなくてPanic In the AirだとかPerhaps It'll Arriveの略だと言われるぐらい評判の悪い航空会社なので、わざわざ乗ろうと思わないのですけど…。) そうなると、イスラマバードからPIA以外の直行便が飛んでいる国外の都市はドバイ・アブダビ(アラブ首長国連邦)、ドーハ(カタール)、クウェート、マスカット(オマーン)、リヤド(サウジアラビア)ぐらいで、後は片道6時間のイスタンブール(でも安全対策のため渡航禁止)と5時間のバンコクがあるのみ。 これではどこに行ってもお酒飲めへんし豚食べられへんやん!!!と叫びたくなるようなラインアップです。 そして、これらの都市から乗り継いで行く近隣諸国も、車で行くほうが早いんじゃないかと思うぐらいに乗り継ぎが悪く、週末に数日の有休をつけてちょっと旅行に、なんて気軽に出かけることなどできないことになるのです。

ということで、まだ全然近隣?諸国への旅行も考えられず、せっかく15年ぶりの南アジア滞在なのに、全然この辺りでの訪問国が増えないパキスタン暮らしです。 月に一度はひょいとヨーロッパの他都市に気軽に遊びに行けていたジュネーブでの生活が本当に懐かしい。。。 
countries visited 2017 May
2017年5月現在、訪れたことのある国は51か国、そのうち住んだ/働いた国は9か国。 パキスタンにいる間にあとどれぐらいこの「行ったことのある国マップ」を塗りつぶすことができるのでしょうか。 もっと真剣に旅行計画を立てなきゃ!
2017.05.19 Fri l 徒然に l COM(0) l top ▲
イスラマバードで暮らし始めて半年になるかの頃のある日、自分でも驚いた感情がありました。 

「スカートをはきたい!!!」

どんな国にいても普段着はジーンズが多い私が、わざわざスカートをはきたいと思ったことなんて、中年のこの年になるまでありませんでした。 いやはや、自分でもびっくりです。

パキスタンではシャルワール・カミーズ(略してシャル・カミ)という民族衣装があり、女性はほぼ100%このシャルカミを来ています。 クルタと呼ばれる膝丈ぐらいの上着にコットンパンツかレギンスを穿いてショールを合わせるのが基本形。 (イメージがわかなかったらローカルに人気のKhaadi辺り見て下さいね。) インドでいうパンジャブドレスとほぼ同じですが、パキスタンではそれに地域&宗教的に異なるレベルで推奨されるアバヤだのブブカだのの「さらに隠す服」を来て、頭や顔はショールやニカブであちこち隠して人前に出るのです。 かなり厳格なイスラム教社会のパキスタンでは、ショールで首を隠すのはもとより、手首・足首をなるべく見せないことも重要。(髪と肌が男を惑わせるから、だそうで。) これって日本で一時女性たちの間で流行った「3首見せで抜け感!」とかいうファッションとまさに対角にある考え方ですね・・・。 

そうは言っても、外国人に民族衣装を強要するわけもなく、イスラマバードで働く私たち外国人も腕・足を見せず身体のラインを見せないような服装であれば、何を着ても非難されたりすることはありませんが、私を含め働く女性たちはやはりこのシャルカミで毎日出かける人が多いように思います。 シャルカミだと無駄に注目されたり悪目立ちしないから、洋服のパンツスーツなどで出かけるよりも楽である、というのも事実です。 刺繍もきれいなシャルカミが多く、年に2度のバーゲンも楽しいですし。(笑) 
シャルカミバーゲン戦利品
(写真は今年2月のバーゲン戦利品… 毎日着るものなので大人買いもアリです!)

でもこれを毎日毎日、何カ月もやっていると、これ以外に選択肢がないことが窮屈になってくるものなのですね。。。 それで出てきたのが冒頭の「スカートはきたい!」だったのかもしれません。 と同時に、先日ヨーロッパに息抜き旅行に行った際には、普通のニットにジーンズを着たら「うわ、胸やお尻のラインが丸見えだ!」と焦ったり。  慣れっていろんな意味で面白いです。

ニカブで注射
そして、私のプロジェクトが活動するKP州はさらに保守的な地域のため、医療従事者の女性たちもしっかり顔や体を人目から隠して業務にあたります。 研修で注射をする練習をしている彼女たちを見ていたら、目しか出ない恰好で患者(人形)に接する姿はかなりシュールというか子どもにしたらホラーだと思わざるを得ず…。 きれいなシャルカミを探すのはパキスタンならではの楽しみですが、やっぱりこういう被服習慣に縛られるのは憂鬱になったりすることもあるものです。 スカートをはけないストレスは、家から一歩も外に出ない日曜日に細々と晴らして、次の一時帰国までやり過ごしていこうと思います。
2017.05.03 Wed l イスラマバード生活 l COM(0) l top ▲
「ぱきろぐ」になったブログで、一番最初に何を書こうかと思ったら、あれもこれも説明をするには難しいことばかりで、内容を決めかねることになってしまいました。 そんなわけで、一番最初にお見せするのはイスラマバード市内の様子に。 1960年代に計画都市として作られたイスラマバードは中心部はどこも四角く区画整理がなされていて、アルファベットと数字を合わせたセクター名(G-6/3とかI-8/1とか)で街のどの辺りかがわかるようになっています。 治安の問題で、在留外国人の私たちが住めるような地域は限られていますが、この写真はF-7からブルーエリア(市内随一の商業区域?)の辺りを撮ったもので、私の住まいもこの中にあったりします。 首都ではありますが、やっぱり高層ビルは少ないし、特にチャーミングな建物があるわけでもなく、あまり特徴のない見た目には残念な街・イスラマバードです。 

Islamabad view 

こんなイスラマバード、4月に入って40℃まで気温が上がるなど、もう真夏の真っ最中です。 これから5月末~6月のラマダン時期まで40℃超えの大変な暑さが続くそうですが、暑くなるにつれて増えるのが計画停電だそう・・・。 イスラマバード中心部は今のところ一日に5回x1時間の停電ですが、一番暑い時期には8~9回の停電になるのだろうとのこと。 一日の3分の1も電気がこない首都ってどうよ?な話はまた別の機会に。 インフラは精神衛生のためには一番大事です。。。
2017.04.26 Wed l イスラマバード生活 l COM(0) l top ▲
2年ぶりのざんぶろぐ。 ずいぶんご無沙汰しています。
今でもこのブログを見て下さる方が少しいるようで、気になりつつも放置が続いていましたが、ようやく重い腰を上げて、再度書きはじめることにしました。 この数年、不特定多数の方の目に触れるブログよりも、友人・知人にのみ公開のFacebookにて近況報告をしていましたが、6年ぶりに開発援助の現場=途上国の「フィールド」に戻って来たことで、ものすごい勢いで学んでいるこの国のことを他の人たちにも伝えたい、という気持ちがまた出てきたようです。 何年か前に私のようなDevelopment workers、つまり開発援助業界で働く人間の特徴(&だから付き合ってはいけない理由)として"they blog" と書かれていた記事がありましたが、途上国暮らしの開発ワーカーは饒舌になるのかもしれません。

ということで、ザンビアからのブログだったから「ざんぶろぐ」だったこのブログは、「じゅねーぶろぐ」を経て、2016年10月から住み始めたイスラマバードからの「ぱきろぐ」として復活させることになりました。 私を知る皆さんにはご承知のとおり、3度の飯より(いや、同じぐらい)酒が好きな私には、青天の霹靂のような禁酒国でのお仕事と生活です。 生まれて初めてのイスラム文化圏での生活で、毎日本当に驚くことの連続ですが、これから開発援助がますます人道援助化していきそうなこの時代に、イスラム教やその影響を受けた文化やスタンな国々の事情に触れて学ぶことができるのも大変貴重な経験と思っています。 パキスタン国内での外国人による移動制限や、今の仕事での所属先機関の安全対策で、なかなかイスラマバード以外での様子をお伝えすることも難しいのですが、少しずつここで見聞きしていることを記録していければと思っています。 

これからは、ゆるゆる書いていきますので、ざんぶろぐをどうぞよろしくお願いします。
2017.04.26 Wed l イスラマバード生活 l COM(0) TB(0) l top ▲